【0612開催】なぜ西粟倉は、消滅可能性自治体を脱したのか?
村内在住、専門社会調査士の猪田有弥氏による「人口レポートを読み解く〜なぜ西粟倉は、消滅可能性自治体を脱したのか?」を開催しました!
今回は、その様子を簡単にレポートしようと思います。
今回のポイント!
大きく3つポイントを分けました。それがこちらです。順番に見ていきましょう!
①西粟倉の人口推計は、良い意味で外れている!
②理由は、これまでの移住施策が反映しているから!
③「消滅」の意味を考える
①西粟倉の人口推計は、良い意味で外れている!
まずは、簡単な定義の確認から入りました。
人口を決める要因は大きく分けて4つ。
①生まれる人数、②亡くなる人数、③転入人数、④転出人数
その中で、③転入人数、④転出人数を無視して、①生まれる人数、②亡くなる人数のみを加味した推計を「封鎖人口」と呼びます。
①〜④全てを加味した推計を「移動仮定」と呼びます。
移動過程を縦軸、封鎖人口を横軸とした時の9象限で分類し、どちらも減少率20%未満(図のA)に値するのが、「自立持続可能性地域」、移動仮定の減少率が50%以上に値するのが「消滅可能性自治体」となるわけです。
西粟倉村は前回の推計で「消滅可能性自治体」に選ばれていましたが、今回からD-③のエリアまで回復しました。
ただ、猪田氏は上記の表だと数値の幅が広いためより細かく見ていく必要があると指摘。実際に修正したデータが以下になります。
西粟倉村は限りなくAの領域に近い、D-③にいることがわかりますね。
近い自治体だと、勝央町、鏡野町など。
子育て施策で有名な、奈義町や真庭市と比べても社会増減率が高いことから、
外から人がやってくる(移住者が増えている)ということがデータから見てもわかります。
この推計、猪田さん的にはとても喜ばしいことだと話していました。
人口推計というのは株価や為替と違い、多くのものは推計通りに推移します。それなのに、良い意味で大きく推計が外れているというのは本当にすごいことだと。
②消滅可能性自治体を脱した理由は、これまでの移住施策が影響しているから!
じゃあ、なぜ脱することができたのか。
結論、これまでの移住施策が功を奏したと言えるでしょう。
では、具体的にどのような効果があったのか。それを、「昼夜間人口比率」というもので見てみます。
(※昼夜間人口比率とは、夜間人口100人あたりの昼間人口の比率。低いほど夜に人が多く昼間に人が少ない。つまり、その自治体外に働きに出ている人が多いと推計される)
上記のデータから、2015年時点で西粟倉村の昼夜間人口比率は、
①80%台半ばと関東のベッドタウン並みに低い。
→男女ともに村外に働きに出ている人が多い
②特に子育て世代の女性が村外通勤している。
ということがわかります。
一方で2020年のデータを見ると、昼夜間人口比率は91.5%と大幅に増加していることがわかります。
つまり2015年に比べ2020年時には、村外に働きに行っている人が少ない。
→村内の雇用が増えている。
と予想されるということです!
これは、まずは働く場所を増やそうという西粟倉の移住施策がピタッとハマったと言えるでしょう。
また、より課題を特定するならば、どの産業やどういった就業地に働きに出ているかなどの分析が必要との話もありました。
③「消滅」の意味を考える
質問タイムでは、人口減少が進む過疎地域のなかで、どんな維持方法が生まれるのかなどが話題になりました。
そこで、猪田さんが話していたのは、「集落はすぐには、なくならないのではないか」という仮説。
意味としては、人口は減ったとしても、住んでいるところではないけど、昼間は集落に働きに出て地域を維持しているという残り方があるのではないかと考えているとのこと。
そうなってくると、今までのような住み方、維持の仕方ではない形が生まれてくるのでは?という意見も出ました。
自治体が「消滅」するとは一体どんな状態なのか。
個人的にはイベント終わりに猪田さんが話していた「消滅可能性自治体」ではなく、「行政サービス不全自治体」と捉えるのが良いのではないか?
というのが印象的でした。
今後の予定
また今度、むらまるごと研究所で、人口レポートのイベントを行うそうです!
日時は、7月2日14:00~16:00。
今回来れなかった方は、そちらも参考に!